この記事が公開される11月16日は、夕方から東京・青山のドイツ文化センターで小さなシンポジウムと世界初演のコンサートを予定しています。

 シンポジウムは、むしろ音楽以外の聴衆を念頭に詩人の辻井喬さん、独文学者の高辻知義先生、建築家の宮本好信さん、ピアニストの守矢花梨さんの4人と準備を進めています。

 夕方5時すぎから青山一丁目駅徒歩5分のドイツ文化センターで、入場無料で開催しますので、都内在勤など便利の方でご興味お持ちいただけるようでしたら、ぜひ多くの方に聞いて頂ければと思っています。

 辻井喬さんが西武セゾングループの総帥・堤清二としてこの半世紀余、日本の流通と消費社会を大きく変えてこられたのは、よく知られる通りです。

 セゾンと言うと「感性経営」などと呼ばれる、1970年代パルコ出店以降の展開をイメージする人が多いと思いますが、むしろ西武百貨店の原点は日本型のスーパーマーケットチェーンを確立した「西友」の展開など、高度成長期にその原点があると私は思っています。

 実は堤さんと私は同じ小学校の同窓、と言うより、辻井さんのお父さん、堤康次郎氏が清二さんのために作ったような学校の同窓にあたり、私の在学中、当時財界のプリンスと呼ばれていた堤さんが理事長に就任されたというのが実のところでした。

「補助金」をアテにする醜悪さ

 40年ほど前は一小学生と学校の理事長という関係でしたが、20歳を過ぎる頃には作曲家の故・武満徹さんの関連で西武セゾングループの音楽の仕事現場が増えました。

 その界隈で堤さんと接近遭遇することが幾度もありましたが、思うところがあり、私の方からは決して堤さんにお声がけするということはしませんでした。

 と言うのは、似たような年配の芸術家でセゾン文化財団などからの支援をアテにして堤さんに接近する人間を目にしていたからです。醜悪に見えました。俺は絶対にああいうことはすまい、と思ったものです。

 実際、現実に堤さんと最初にお目にかかったのは、詩人の大岡信さんのご紹介によるものでした。