目下、現実的なのは統合運用を強化・充実させることだろう。もちろん、米海兵隊との連携は前提条件だ。

 そう考えると、水陸両用車など個別のアイテムを揃える必要性もあるが、陸海空が連携して行動するための通信機能がおぼつかない状況を打破しなければならないのではないか。この大事な取り組みがなかなか進まないことを、もっと深刻に受け止めるべきだろう。

 一方、話は一気に飛ぶが、ちょっと気になることがある。それは、今、西普連がメディア等で取り上げられ、一部の識者の中でも「こういうところにこそ重点投資すべし」とか「特殊部隊を増やすべし」などといった極端な論調が見られることだ。

 たまたま西普連に行った翌日に北海道の部隊に行ったから言うわけではないが、南西方面が今は重要だからと言って北方を削ぎ落としすぎることは問題がある。

 すでに北海道の自衛隊は2つの師団が旅団化されるなど縮小の一途をたどっており、これは抑止力を低下させることになる。広大な土地を有する北海道には演習場も多く、日本の国内事情に鑑みて、兵を養うには最適な場所だ。ここが練兵場として欠かせない土地であることはおそらく将来も変わらないだろう。そのためには、常駐部隊は必要なのだ。

必要なのはバランスのとれた戦力配備

 誤解を招いてはいけないので、改めてまとめると、西普連など南西方面対処を強化するのは今、当然であり、まだまだ投資しなければならない。ただし、だからといって北海道には我慢してもらうというわけにはいかない。どんな時代であってもわが国にはバランスのとれた戦力配備が必要なのだ。

 とにかく日本は今、長期戦に備えなければならず、予算を減らしている場合ではない。しかし、世の中には「上陸された時はもうおしまい」という声も少なくなく、短いレンジでしか思考していないように見える。このあたりの意志の弱さがつけ入られる隙になり、ちょっかいを出されているように感じるのは私だけだろうか。