MCMブランド事業を手がけているグループ企業の聖株D&Dは、MCM買収後急成長している。
2007年の売上高は1219億ウォン(1円=14ウォン)だったが、2008年1592億ウォン、2009年1832億ウォン、2010年2425億ウォン、2011年3100億ウォンと増加した。MCMの女性用バッグは、韓国の百貨店では売り上げナンバーワンに浮上している。
韓国企業が買収して息を吹き返したブランドには「フィラ」がある。聖株グループと同じように、韓国内の販売権を持っていた韓国企業が、「フィラ」本社を丸ごと買収して、今は、韓国ブランドになっている。韓国内はもちろん、中国などに積極的に進出して「かつての勢い」を取り戻しつつある。
では、MCMを買収した金聖株氏とはどんな人物なのか。
「政略結婚」を拒んで家を追い出された財閥の娘
金聖株氏は、韓国で1970年代まで「10大企業」に入っていた大成(テソン)グループの創業会長の末娘だ。大成グループは、韓国で暖房用に使われていた練炭事業で急成長した。
1960年代まで韓国では全国にこうした「練炭財閥」があったが、その大半は練炭を使わなくなるとともに衰退した。しかし、大成グループは、石油販売事業や都市ガス事業に転進し、今も資産規模で50位前後の中堅財閥として生き残っている。
金聖株氏はだから経済的に何不自由なく育ち、梨花女子高校から延世大学社会学科を卒業した。その後、米アムハースト大、英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、米ハーバード大大学院に進んだ。
大成グループの創業者の7人の子供たちはいずれも高学歴で、金聖株氏も見事な「高学歴女性」になった。
ここで人生が転機を迎える。本人が最近、韓国メディアに語ったところによると、「財閥の娘として政略結婚をしなければならないのを拒否して家から追い出された」。自立を迫られた金聖株氏は、米国の大手百貨店ブルーミングデールに就職して、ここでファッションやブランド事業について学ぶ。
帰国後1990年に聖株グループの前身である聖株インターナショナルを設立。グッチなど有名ブランドの韓国内販売権を獲得してブランド・ファッション事業に進出する。MCMについてもこの頃、韓国での販売権を獲得した。
