米アップルが、写真共有のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を手がける「ザ・ファンシー(The Fancy)」という企業の買収に向けて交渉中だと海外メディアが報じている。

 同社は米ニューヨーク市を拠点とする創業2年ほどの新興企業。従業員数はまだ20人と規模は小さいが、その親会社の取締役会には米ツイッターや米フェイスブックの共同創業者がおり、注目されている企業だ。

クックCEOもさっそくSNSに参加

 写真共有のSNSであるため「ピンタレスト(Pinterest)」のライバルと見られることも多いが、サービスには直接商品を購入できる仕組みがあり、eコマース色が強い。このためファンシーは“ソーシャルコマースサイト”とも呼ばれている。

 またファンシーはアンドリーセン・ホロウィッツなどの有力ベンチャーキャピタルや、高級ブランド「グッチ」などを傘下に持つフランスPPRなどから出資を受けている。

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アップルのクックCEOが珍しくSNSに登場した〔AFPBB News

 米ビジネスインサイダーによると、アップルとの交渉が今後うまくいくかはまだ分からない。

 ただ、今年開催された投資銀行主催のカンファレンスで、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)とファンシーのジョー・アインホルンCEOが会っており、その直後にクックCEOがファンシーのサービスにアカウントを開設している。

 控え目なクックCEOがSNSに登場することは珍しく、これは単なる偶然ではないという。

 さらに、ビジネスインサイダーは、アップルの買収戦略に詳しい関係者の話として、ファンシーのサービスはアップルの目的と一致しており、今回の話し合いもアップルが企業買収する際のパターンで進行していると伝えている。

アップルの強みは4億人の顧客アカウント

 アップルはこれまで、音楽配信サービス「ララ(Lala)」や、モバイルアプリの検索技術を手がける「チョンプ(chomp)」、デジタル地図の技術を手がける「プレースベース(Placebase)」、モバイル広告の「クアトロワイヤレス(Quattro Wireless)」といった企業を買収しており、いずれもこれらの技術でサービスの強化を図ってきた。

 アップルが直営オンラインストアで、自社製品のネット販売を始めたのは1997年。「アイチューンズ・ミュージック・ストア(現アイチューンズ・ストア)を開始し、デジタル音楽のダウンロード販売を始めたのは2003年のこと。