ギリシャ国債の5月償還問題への懸念が強まり、国際金融市場で混乱が続いている。PIIGS(財政危機に直面するポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)をめぐる国家財政の健全性に対する不安が株式市場のセンチメントを悪化させ、世界的に株価調整色が強まった。
次の表は年初来の株価騰落をまとめたものだ。(2010年5月7日終了時点)
世界株価指数 | NYダウ | 日経平均 | 新興国指数 | |
---|---|---|---|---|
変化率 | ▲5.9% | ▲0.46% | ▲1.72% | ▲6.31% |
大型連休後の下げで日本株の年初来騰落はマイナスに陥ってしまったが、世界指数から比べると日本株は健闘している。しかし日本株に対して市場が特段強気になった結果ではない。
別のネガティブな要因がこうした結果をもたらしたと筆者は見る。マーケットでは、「欧州の有力な金融機関が日本での本格運用から撤退するらしい」との観測が浮上しているのだ。今後、日本株に関してはインデックスに含まれる銘柄のバランス調整にとどめ、代わりに成長性が見込める新興国に軸足を移すことは容易に想像できる。
過去10年間で借金が膨らんだだけ、「変化」への期待がなければ・・・
6月に償還を迎える10年物の日本国債の利率は1%台。そして現在取引されている10年物国債の利率も1%台である。すなわちこの10年間、日本経済は借金が膨らんだこと以外何も変化がなく、長期金利が上昇しなかったのは僥倖と見るべきだろう。だからこそ国民は変化に期待し、政権を民主党に預けたのだ。
変化に対する期待が乏しければ、運用機関もコストを掛けて調査を行うインセンティブが後退する。