サムスン電子や現代自動車など韓国の大企業の2011年7~9月決算が相次いで発表になっている。欧州財政危機に端を発した世界的な景気減速にもかかわらず、両社とも好業績だった。

 ただ、景気の先行きが不透明なため、いつでも「危機経営体制」に一気にシフトチェンジできるよう社内の引き締めにも動いている。2008年の金融危機時にも素早い危機対応力を見せ、競合他社に比べていち早く成長軌道に戻した。「危機の後にはチャンスが来る」。韓国の大企業のスピード経営は健在だ。

驚異的な利益水準を保つサムスン、ライバルの苦戦は絶好のチャンス

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サムスン電子は、半導体価格が急落しても、10%台の利益率を維持した〔AFPBB News

 サムスン電子の7~9月期業績は売上高が前年同期比3%増の41兆2739億ウォン(1円=14ウォン)、営業利益が同13%減の4兆2529億ウォンだった。

 増収減益だが、2010年の7~9月期が記録的な業績だったことや、最近の半導体価格の下落を勘案すると、10%台の売上高営業利益率を維持したことは驚異的な利益水準と言えるだろう。

 2011年1~9月の累計決算では、売上高117兆7000億ウォン、営業利益10兆9500億ウォンとなり、韓国メディアは「2年連続で売上高150兆ウォン、営業利益15兆ウォンの達成も視野に入った」と報じている。日本円換算で利益が1兆円を超える可能性が出てきたわけで、圧倒的な収益力を示した。

 特に、事前の証券市場の予測を覆したのは主力の半導体部門だ。DRAM価格の急落で、市場環境は極度に悪化しているが、比較的付加価値の高いスマートフォン向け製品やフラッシュメモリーの比重が高いことから、同部門だけで売上高9兆4800億ウォン、営業利益1兆5900億ウォンとなった。

 世界の主要メモリーメーカーが、軒並み赤字転落という総崩れ状態に陥ったのに対して、サムスン電子の半導体部門の売上高営業利益率は17%となった。

 この半導体部門をしのぐ利益を上げたのが通信部門だった。売上高14兆9000億ウォン、営業利益2兆5200億ウォンで、ともに過去最高となった。スマートフォンの販売台数は2000万台後半となり、初めてアップルを抜いて世界1位に浮上したもようだ。