2009年度第2次補正予算編成を伴った追加経済対策という、国債増発の「火種」(11月11日作成「大きくなってきた『2つの火種』(2)」参照)。2009年度と2010年度を合わせた歳出規模がさらに膨張することを何とか回避したいという危機感がにじんだ発言が、11日夕刻の定例会見で、藤井裕久財務相の口から発せられた。
藤井財務相は、政府内で2次補正自体がすでに決まったわけではないと一応断りつつ、「菅(直人)担当相がお話しになったのは、通常使われている言葉で言えば(2010年度予算の)前倒しであり、歳出を増やす要因ではない。2010年度予算がその分減るという前提であることは事前に話している」「(2010年度概算要求で金額を明示していない)事項要求として入っているものを、少しでも早い方がいいという意見もあるので先取りし、(2010年度予算の)要求は取り下げてもらう」「(1次補正の一部執行停止で捻出した2.9兆円を)私は補正予算で使うとは言っていない。閣僚間で実施を決めたわけではない」と発言。2009年度2次補正を編成するとしてもそれは2010年度予算について概算要求された歳出の前倒し計上などが前提であって、歳出が膨らむ要因にはならないと引き続き理解していることを明らかにした。
上記財務相発言のマスコミの取り上げ方(解釈)は、歳出増加圧力への「牽制」であったり、財務省の「意向」表明であったり、2次補正に「同調」しつつも財政規律は維持する方針の表明であったりと、一定していない。政府内で、この問題はまだ最終決着していないとみておくのが順当だろう。その後、政府は追加経済対策を11月末に策定する方針を11日に固めた、という報道が出てきている(11月12日 日経新聞)。この記事によると、経済対策の主要項目や財政支出の規模といった大枠は17日の閣議で決定される見通しで、財源は1次補正の一部執行停止で捻出した2.9兆円。環境投資の促進や雇用対策などを柱に据え、景気を下支えしたい考え、という。したがって、17日になれば歳出が純増になるかどうかが、おそらく判明するだろう。
一方、行政刷新会議は11日、「事業仕分け」を開始した。大きな注目を浴びながら行われた公開討議の初日は、23項目50事業のうち、10事業が廃止すべきだと判定された。金額は501億5800万円。作業は27日まで続けられ、447事業の仕分けが行われる。
仕分け本来の趣旨からはまったく外れる話であり、刷新会議の判定が必ずしも予算削減に直結するわけではないのだが、1日あたり500億円の予算削減ペースでは、最終的に1兆円に届くかどうかも不明確、という話になる。3兆円削減という目標にははるかに及ばない。