株式投資において、10月は最もパフォーマンスの良くない月として知られている。歴史に照らしてみれば、特に10月の中旬までが鬼門だ。米株式市場のニューヨークダウ工業株30種平均が史上最大の下落率を記録したブラックマンデーは1987年10月19日だった。アジア通貨危機に揺れた1998年、米企業の不正会計問題が噴出した2002年にダウが安値を付けたのも、10月上旬。

 漠とした不安の中で迎えた今年の10月相場であったが、案に相違して世界的な株高傾向が続き、欧米や新興国の株価は中旬にかけて軒並み高値を更新した。この時点で市場関係者の多くは「危険な時期をなんとかやりすごした」と、ホッとひと息ついたことだろう。

 米シカゴ・オプション取引所(CBOE)のVIX指数は、こうした市場心理を如実に表している。VIX指数は市場心理が弱気に傾けば上昇し、強気なら低下する性質を持つ。10月初旬には30ポイント近くまであったが、波乱なく1日1日消化するごとに指数は低下し、10月22日に20.69ポイントと年初来の最低水準を記録した。

 リーマン・ショック直後の2008年10月24日にはVIX指数が史上最高値(=超弱気)の89.53を記録したことを考えれば、市場の弱気心理は1年で見事に癒え、むしろ、強気に傾いていると言える。

ドルキャリー取引が株高を演出

東京円、8か月ぶり1ドル=88円台

為替市場でドル安が進んでいる。2009年9月28日、東京外国為替市場では一時、1ドル=88円25銭と8カ月ぶりの円高水準となった〔AFPBB News

 その世界的な株高傾向の背景を一言で説明するとすれば、ズバリ「ドルキャリー」だ。ドルキャリーとは、低利のドルで調達した資金を、高利の通貨や株式、原油など、ボラティリティーの高い商品に投資して収益を狙う取引を指す。

 ドル安は米国の多国籍企業にとっては業績の押し上げ要因となる。米国企業の2009年7~9月期決算は8割の企業が上方修正するなど、すこぶる好調だ。また、すべての国際商品は原則としてドル立てで取り引きされているため、ドルの先安感が強まると価格そのものには相殺しようとする力が加わり、価格は上昇する傾向にある。

 資源関連株の比率の高い米国株式市場にとっては、ドル安による商品価格の高騰は資源株高を通じてプラスに作用する。そして、何より、ドル安は「ドルキャリーの進展=リスク志向の継続」を示していることに他ならないと受け止められ、市場参加者の心理を更に好転させる材料となる。