一方「豊洲」では、運河を意味する「キャナル」から、「キャナリーゼ」「キャナリーマン」という言葉が生まれています。それに強く憧れる人には羨望の呼称として、そうでない方には若干揶揄的なニュアンスを持って使われるこれらの呼び名ですが、いずれにせよそのように1つの呼び名でくくられる同質性は、確かに存在するようです。

  そして、銀座まで地下鉄で5分、複数の大型商業施設、東京湾花火大会、そしてレインボーブリッジや東京タワー、富士山を臨むタワー眺望。「豊洲」に林立する超高層タワーは、いずれも同じセールスポイントで「豊洲」の “立地ブランド” を、それぞれのマンションのかけがえのない付加価値としてアピールしており、各種の「人気の街ランキング」での豊洲の評価は、それが一定の成功を収めていることを示しています。

低契約率、価格ダウンに悩む首都圏のマンション市場

  不動産経済研究所が発表しているマンション市場動向によると、直近の6月の状況で、首都圏のマンション市場はいまだ苦戦を続けており、新規供給量は前年同月より23%も減の3080戸。全体の契約率は70.2%で、タワーマンションは68.9%とタワーの苦戦が見られ、価格も下落傾向を抜け出せません。

 また、これは決して表に統計として出る情報ではないものの、「豊洲」をはじめ湾岸エリアのタワーを中心に実質的に「大幅な値引き販売」が引き続き行われているということは根強く言われています。 

 このように実勢価格が大きく値下げしている中で、「豊洲」という街のブランド価値自体が、相対的に上昇していることを考えると、ここ「豊洲」に大量に在庫されているマンションは、下落したその価格に比べれば、今や “ブランド立地” としての付加価値まで標準装備された、もしかしたら絶好の掘り出し物と言えるかもしれません。 

 しかも、選択枝も数多く、本来の価値以上に値頃な価格の現在は、投資ではなく実需として、実際にそのマンションに住まおうとされる方々にとっては絶好の買い時を迎えている可能性があります。もちろん、購入を推奨しているわけではなく、リスクとリターンを考慮に入れ、自らの責任でご判断いただくことは言うまでもありません。

 さて、「マンション経済学~住力の法則」次回は、「立地は創造する。その2.臨海立地創造」というテーマで、東京湾岸の “新 ・ブランド立地”、品川港南エリアについて考察します。