「リノベーション」という言葉をご存じでしょうか。「リノベーション」とは、既存の建物の躯体はそのままに、内装や外壁、間取り、設備などの改修を行い、建物の機能や性能、価値を高めていくことを言います。
日本でもついに根付くか、リノベーション市場
リフォームという言葉は既に広く知られていますが、リフォームもまた、リノベーションの一部と言えるかもしれません。
特に、1戸単位のリフォームで、住戸内をコンクリートむき出しのスケルトン状態まですべて解体し、リフォームする場合などは、まさにリノベーションと言えるでしょう。
場合によっては水回りの配管までも交換・位置変更し、メンテナンスしやすい状態にするとともに、大幅な間取り変更が可能になります。さらに、大型住戸の場合、水回りの位置変更により、間取りを自由に変更することもでき、個性あふれる住戸デザインをかなえます。
水回りの配管は、住戸の血管や内臓のようなもの。これを一新することで、住まいの寿命が一気に延びるのです。
一方で、これまでのスクラップ&ビルドで、古いものを取り壊し、新築を供給するという考え方が進んだ結果、現在の既存住宅の1割は空家になっているとするデータがあります。また、何らかの改修が必要な築20年以上の中古マンションは、首都圏だけでも現在120万戸以上存在していると言われています。
これに対し、国は2006(平成18)年に「住生活基本法」を公布・施行し、「良質な住宅ストックの形成」を国策として制定しました。
新しい需要創出が期待される
近年のエコの思想の広まりや、購入価格が新築に比べ安価であるということを考えれば、リノベーションは今後ますます広がっていくと言えるでしょう。
規模としてどこまで膨らむかはまだ予測できませんが、三井ホームがオーナー向けにリノベーション事業を展開するなど、市場ポテンシャルは非常に高く、老朽化が進んだ首都圏の中古マンションに、リノベーションで新しい付加価値を加えることで、新しい需要を創出することができると思われます。