比較的早くからエコロジー対応が進められてきた一戸建て住宅に比べると、マンションのエコ化は遅れがちでした。しかし、この数年、マンションにおけるエコロジー対応は急速な広がりを見せています。

光熱費の節約だけでなく金利優遇も

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東京都内では屋上緑化の1つとして屋上の農園が大人気〔AFPBB News

 例えば、CO2の排出量を抑え、経済的にもこれまでよりもお得になるガス温水機器エコジョーズや、空気でお湯を沸かすエコキュート、または、断熱効果を高める複層ガラス、消費電力を抑え長寿命化を実現したLEDライト、屋上緑化、太陽光パネル、必要な時に必要な分だけ賢く使えるカーシェアリングなど。ハードとソフト、両面でのエコ化が一気に進んでいるのです。

 この大きな変化の要因は何でしょうか。それは、「エコ対応マンション」によって消費者が受ける恩恵が、より具体的かつ大きくなってきたからだと思われます。

 まず家計面。毎月のガス代や電気代、駐車代、車の維持費が節約されるほか、住宅ローンについても、フラット35認定による金利の安定化と引き下げや、住友信託銀行による「東京都マンション環境性能表示」制度の評価結果と連動して金利を優遇する住宅ローンなど、家計にやさしい制度があり、とても魅力的です。

 また、つい先日日本総合研究所が発表した消費者意識調査によると、「商品・サービスの利用を通じた社会・環境貢献」に対する否定的な回答は約1割。ただし、社会・環境貢献に支出を伴うことには消極的で、回答者の50.2%が「支出を伴わない行動によって企業の貢献活動に参加する」方法を望んだそうです。

 この調査における回答者のイメージは、例えば商品を購入するとメーカーが一定額を環境貢献に使う、といったものでしょうが、住んでいるだけである程度環境に貢献できる、というエコ住宅は、このような消費者志向にマッチしたものと言えるでしょう。

エコ関連の7項目が望ましい住宅トップ10入り

 これを裏づけるデータとして、不動産大手8社共同による新築マンションポータルサイト「メジャーセブン」が行った調査があります。「マンションの施設・設備で希望されるもの」という質問において、共用部分では長寿命・高耐久住宅、外断熱住宅、太陽光発電システムといったエコに関連する設備が7項目トップ10入りし、専有部分においても、トップ10中4項目がエコ関連の設備でした。

 地球のために自分を犠牲にするのではなく、地球に良いことをして自分も得をする。そういった、エコを取り巻く消費者の考え方の変化によって、マーケティング的にも「エコ」は “正しい” トレンドとなっているのです。

 エコ対応マンションに対する消費者の好意的な姿勢。これは、厳しい市場環境におかれているデベロッパーにとって「頼みの綱」となっている、という見方もできるでしょう。