長い間、いわゆる “環境” をテーマにした商品は、実際には売れないとされていました。昨年、一番売れた車、トヨタ自動車の「プリウス」も本格的に売れ出したのはここ数年です。今では、トヨタのいわゆるドル箱となっていますが、長年、むしろ開発費ばかりかかって利益には貢献しない “お荷物” とさえとらえられていました。
そうした傾向は、いわゆる不動産業界でも同じです。
これまでは口先だけだったエコマンション
環境をテーマにした広告キャンペーンがこれまでなかったわけではありません。しかしながら、いくら広告キャンペーンで “環境” を謳っても、実際の販売にはほとんど貢献していなかったと言っても過言ではないでしょう。
また、特に再開発や大規模プロジェクトで、積極的に使われてきた言葉に「環境創造型マンション」という言葉があります。
「環境創造型マンション」とは、敷地内に積極的に木々を植え、緑あふれる住環境を創造しながら、同時にマンションを建設するというランドスケープ創造の考え方ですが、この場合の “環境創造” とは「緑あふれる快適環境」というような意味合いで、今話題になっている “環境” とは意味合いも異なります。
ところが、ここ1~2年でマーケットの意識は大きく様変わりしています。
三井不動産レジデンシャルが公表した、住宅購入者の「環境問題に関するアンケート調査」(実施期間:2009年7月17日~8月17日、調査方法:WEBアンケート、回答者:796名)の結果によると、住宅を購入する際、住宅の環境性の高さが「重要な検討ポイントとなる」と回答した人は26.1%、「おそらく検討ポイントとなる」と回答した人は60.7%で、合計すると実に8割以上の人が、環境性の高さを住宅選びで意識していることが分かります。
今でこそ当たり前のように思えるこのアンケート結果ですが、そもそもこうしたアンケートさえ、これまで積極的には行われていませんでした。
長引く平成マンション不況も、昨年の3月末が底だったと言われている中で、現在在庫調整が進みつつあるマンションのほとんどは、エコ的な環境をテーマにしたものは皆無と言っても過言ではありません。
しかし、今後のマンションの商品企画では、“環境” はもはや最も無視できないテーマの1つです。
例えば、大阪府摂津市に建設中の、三井不動産レジデンシャルの「パークシティ南千里丘」は、屋上緑化や太陽光発電を施し、住宅性能評価の省エネルギー対策の項目においては最高等級のエコ環境性能を備えています。