5月19日、厚生労働省は来年度の医療・介護保険制度改革において、外来患者の窓口負担に一定額を上乗せする「定額負担」制度を導入する方針を表明しました。
現在、外来患者が医療機関受診時に窓口で支払う3割の自己負担に加えて、初診時に200円、再診時に100円程度を支払う制度を導入する、とのことです。
これにより数千億円の財源が確保され、がん患者など長期重症患者や難病患者の負担軽減策に充てると説明しています。
自己負担を少し増やすことにより、がんや難病になった時の負担が減るということであれば、反対する人は少ないのかもしれません。
しかし、この「定額負担」制度は、財源難に苦しんでいる医療制度の抜本的解決にはほど遠いものなのです。
難病患者に伝えなければならない「ニュー・バッドニュース」とは
大腸がんについて考えてみましょう(大腸がんは、現在の女性のがん死亡原因のトップとなっています)。
がんの増殖や転移を生じさせる分子を特異的に抑える分子標的薬を使用した最新の抗がん剤治療を受けると、薬剤代金だけで1カ月に約60万円かかります。
3割負担だと、薬だけで毎月18万円にもなりますが、日本には高額療養費制度があります。ですから多くの場合、実際の負担金額は月4万~8万円程度になります(所得金額により負担金額はさらに下がる場合もあります)。
それでも、医療費だけで毎月8万円の負担が続くとなると、それなりの所得があったとしても大変なことです。
これまでのがん治療における「バッドニュース(Bad News)」とは、進行がんの事実を患者にどのように正確に伝えるかという問題を意味していました。