左から第101回 箱根駅伝、復路10区、左から帝京大の小林咲冴、順天堂大の古川達也、東京国際大の大村良紀、東洋大の薄根大河 写真/SportsPressJP/アフロ

(スポーツライター:酒井 政人)

シード権争いは壮絶なアンカー勝負

 青学大が大会新記録で駆け抜けた今年の箱根駅伝。シード権争いも“超ハイレベル”になっただけでなく、熾烈な争いが待っていた。

 復路鶴見中継所のタスキリレーは8位が東洋大、9位が帝京大、10位が順大。この3校の差はわずか11秒だった。さらシード圏内まで11位の東京国際大が21秒差、12位の日体大が26秒差につけていた。

 20年連続シードを目指す東洋大の酒井俊幸監督はアンカー薄根大河(2年)に「最初の1kmを速く入るように」という指示を出す。薄根は2分50秒切りのペースで突っ込むも、後続チームが猛追してきた。

 2.4km付近で東京国際大・大村佳紀(3年)が順大に追いつくと、5.6km付近で東洋大と帝京大にも並び、4チームが集団となったのだ。このうち1校だけがシード権を手にできない“サバイバルレース”になった。4校の集団は崩れることなく進んでいく。「嫌な予感が当たったなと思いました」というのは酒井監督だ。

「薄根はラストが強いタイプではないんですよ。正直、これはきついと思いました。どの大学もシード権を獲得するんだという覚悟を感じましたし、なかでも帝京大の1年生(小林咲冴)はすごく積極的でしたね。薄根はどれだけ溜めて、最後いけるのかという状況でした。あのような展開は恐怖心も出てくるんですけど、それ以上に走れなかった選手やチームの存在が、ラストスパートを苦手とする彼の背中を押したのかなと思います」

 集団に動きがあったのは22km付近。東京国際の大村がスパートすると、東洋大と帝京大が競り合い、順大が少し遅れる。

 大手町のゴールは8位が東京国際大で、1秒遅れで9位の東洋大、さらに1秒遅れで10位の帝京大。順大は217.1kmを走って、シード権に7秒届かなかった。