米陸軍によるATACMSの発射訓練(2021年12月14日、米陸軍のサイトより)

英仏も「ストーム・シャドウ」使用許可

 退任まであと2か月と迫ったジョー・バイデン米大統領が11月18日、ウクライナに米国が供与している陸軍戦略ミサイルシステム(Army Tactical Missile System=ATACMS)の長射程での使用を許可した。

 ウクライナ侵攻を続けるロシアに、北朝鮮が派兵したことへの対応とみられる。

Biden Approves Ukraine’s Use of Long-Range Missiles Inside Russia - WSJ

Biden allows Ukraine to strike inside Russia with long-range missiles 

Biden Allows Ukraine to Strike Russia With Long-Range U.S. Missiles - The New York Times

 同ミサイルは、最大射程距離は300キロ、高速で飛翔するため迎撃は極めて難しい。

 米国はウクライナ戦争勃発以降、今年6月末までウクライナに提供した軍事援助額は555億ドル(約8兆5700億円)。今回の長距離ミサイルはその一部で追加援助の対象ではない。

 米国の決定に伴い、英仏も共同開発した長距離巡航ミサイル「ストーム・シャドウ」(Storm Shadow=SCALP-EG、最大射程距離289キロ)の使用を許可するものとみられる。

 米英仏が間接的に北朝鮮将兵を標的にすることになる。

What are ATACMS? The long-range missiles Ukraine could use to strike back at Russia after Biden decision | The Independent

 米メディアは「米国の対ウクライナ戦争に対する大変化」と報じていているが、ドナルド・トランプ次期大統領は沈黙している。

(おそらく11月13日のバイデン氏との2時間にわたる会談でこの決定は明かされていたものと思われる)

 トランプ氏のスポークスマンは、バイデン氏からトランプ氏に事前通告があったかについてはコメントを避けた。

Joe Biden's long-range missile call helps Donald Trump - UnHerd

Biden lets Ukraine use U.S.-supplied long-range missiles in Russia's Kursk region