(英フィナンシャル・タイムズ紙 2024年6月18日付)

フランス議会選挙の世論調査で他党を大きくリードしている極右政党RN党首のマリーヌ・ルペン氏(6月9日撮影、写真:ロイター/アフロ)

 フランスの極右は、これから先、単に「右派」として知られたいと考えている。

 そのロジックは分かる。

 極右政党「国民連合(RN)」は目前に迫ってきたフランス議会(下院)選挙の世論調査で他党を大きくリードしている。

 一方、伝統的な右派は壊滅的な状態に陥っている。

 RNが7月にフランス議会の最大勢力になれば、同党はフランス保守主義の定義を変えたことになる。

 極右を右派としてリブランドするか否かという問題は、フランス以外にも広く鳴り響く。

 ドナルド・トランプが自身のイメージに沿って共和党を一変させた米国でも似たような問題がある。

 自由市場と国際主義を尊ぶ、ジョージ・H・W・ブッシュの伝統的な共和党は今、存在しないも同然だ。

 今ではトランプの「米国第一」の排外主義が保守運動を牛耳っている。

 イタリアと英国では平行した議論が繰り広げられている。

 イタリア首相のジョルジャ・メローニを「極右」政治家として定義するのは、今もまだ理にかなうのか。

 ある世論調査でナイジェル・ファラージの「リフォームUK」が与党・保守党を抜いた今、英国の総選挙後にファラージとその理念による保守党の逆乗っ取りがある可能性さえ取り沙汰されている。