安倍晋三首相の突然の辞任表明により、自民党の次期総裁を選ぶ総裁選の火ぶたが切って落とされた。菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、河野太郎防衛相、石破茂元幹事長らの名前が取りざたされているが、その総裁選は通常の総裁選とは違い、地方の党員投票を伴わない両院議員総会での投票になりそうな雲行きだ。しかし、党員の声を反映しないこの方式に異議を唱える動きが自民党内から起こっている。現在、その中心で奮闘する小林史明・自民党青年局長に活動の狙いを聞いた。(JBpress)

このままでは自民党が国民から見放される

(小林 史明:衆議院議員、自民党青年局長)


 このままでは自民党は国民から見放されてしまうのではないか――私はいま、そんな強い危機感を抱いています。

 8月28日、安倍総理が辞任表明をした。その瞬間、自民党の次期総裁を決める総裁選の始まりを告げる号砲が鳴らされました。

 現時点で具体的な日程や選出方法は決まっていませんが、報道では8月28日の総理の辞任表明の直後から、通常の党員投票を伴う方式ではなく、両院議員総会において国会議員票と各都道府県連代表各3人による投票結果で決める方式になりそうだと報じられています。

 私は危機感を覚えるのはここです。

 今回の総裁選は、政権与党の総裁を選ぶ選挙です。つまり日本の総理大臣を選ぶ選挙になります。そうした極めて重要な選挙ですから、本来、広く全国の党員の意見を反映すべきです。ところがいま党内は、党員、すなわち国民の声を聞くプロセスを省略するような方向で動いています。こうした発想が簡単に出てくるのは、政党として極めて危ない事態と言えます。

小林史明・自民党青年局長

 報道によれば、両院議員総会での総裁選になりそうな理由の一つは、「コロナ禍の中で大規模な総裁選をする難しい」ということだそうです。しかし、党員投票は郵便投票ですから、投票自体で人々が密の状態になることはありません。コロナ禍は党員投票をしない理由にはならないでしょう。