イランの報復攻撃は、ホテル、空港、エネルギー施設などインフラ施設に及ぶ

 この日は米国のイラン攻撃に2時間ほどしてからイランの報復が始まり、UAEの首都アブダビにミサイルが飛来。UAE側が迎撃したが、ミサイルの破片が落下し、パキスタン人1人が死亡する事案が起きていた。しかし、報復のターゲットはあくまでも米軍基地など米国関連施設に限定されるだろうと想定していた。

 イランはこれまで米国などから攻撃を受けても、極めて抑制的な報復にとどめてきた。

 さかのぼれば、2020年1月に米軍が革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官らをイラクの首都バグダッドでドローン攻撃によって殺害した際も、イランはイラク・アルビルの米軍駐留基地へのミサイル攻撃にとどめた。

 また、昨年6月、米軍がイランの3カ所の核施設を攻撃した際も、カタールの米軍基地に向けたミサイル発射で報復を終わらせた。その際、イラン側はカタール側に事前通告もしており、友好国への配慮も示しながら国家の体面を維持する意図がそこにはうかがえた。イラン専門家の間でも、軍部の暴走を抑え、過剰なエスカレーションを避けるハメネイ師周辺の“バランス感覚”については一定評価する声も多かった。

 イランは2023年3月、中国の仲介で長年敵対してきたサウジアラビアと関係を正常化した。米国が中東への関与を弱め始めたことで、地域の国家間で緊張緩和を探る動きが広がり、UAEなど他の湾岸諸国も同様にイランとの関係を改善させていた。

 しかし今回のイランの報復は、湾岸諸国の米軍基地などにとどまらず、ホテルなどの民間施設、空港やエネルギー施設などの各国のインフラ施設にも及んでいる。