しかし、同紙はこのような大衆的支持が、ともすれば平和憲法の無力化や軍備拡張を正当化する手段になりかねない点を危惧した。特に、高市首相が勝利確定後に強調した「積極財政」と「強い日本」というスローガンが、近隣諸国との対話よりも強硬な対決局面へと繋がる可能性について、批判的な視点を堅持した。

世界各国で進む「保守回帰」の中、韓国だけは「保守漂流」

 2月19日、韓国の裁判所は尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の2024年の「12・3非常戒厳令」を「内乱」と規定し、内乱首謀の罪に問われた尹前大統領に対し無期懲役を言い渡した。

韓国前大統領の尹錫悦被告(写真:共同通信社)

 朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾以降、保守政治圏は強力なリーダーを欠いた状態で、文在寅(ムン・ジェイン)政権関連の捜査を指揮し人気を得た検察総長を迎え入れ、大統領候補として擁立。22年の大統領選で勝利し政権を取り戻した。

 しかし、尹大統領は「非政治家」としての限界を露呈し、国会を掌握した野党を力で制圧しようとして、かえって権力の座から追放され、保守支持層に深い挫折感と衝撃を与えた。自ら政治家を育てるよりも、一時期国民が熱狂した「スター」に依存した韓国の保守層は、尹政権の没落とともに深い泥沼に陥り、抜け出せずにいる。

 国際社会で保守回帰の流れが加速する中、韓国の保守だけが漂流を続けている。この暗澹たる状況において、地道な自己研鑽を経て「時代の要請」に応えた高市首相の台頭は、隣国の保守政治に対し、根底からの体質改善を求める強力なシグナルを与えているかもしれない。