第1部 2油種 (北海ブレント・露ウラル原油) 週次油価動静 (2021年1月~26年2月)

 最初に、2021年1月から2026年2月までの代表的2油種の週次油価推移を概観します。

 北海ブレントはスポットFOB(Free on Board/本船渡し商品代)、露ウラル原油は露黒海沿岸ノヴォロシースク港出荷FOB。

 この2油種は品質が異なり、北海ブレントは軽質・スウィート原油(硫黄分0.5%以下)、ウラル原油は中質・サワー原油(同1%以上)です。

 両油種の品質差による正常値差はバレル約$2ゆえ、これ以上の値差は対露経済制裁措置の効果になります。世界の原油需給は緩和しており、油価は低迷基調。地政学的要因以外に油価上昇材料は存在しません。

 米国は2022年5月度よりロシア産石油(ウラル原油と重油)の輸入を停止。一方、日本が2022年6月以降原則輸入停止しているロシア産原油3油種(S1・S2原油・ESPO)は全て軽質・スウィート原油です。

 油価は2021年初頭より2022年2月まで上昇基調でした。しかしロシア軍のウクライナ侵攻後、ウラル原油は下落開始。主要輸出先が欧州だったバルト海から出荷されるウラル原油は、開戦後に欧州向けが激減。

 輸出先を失ったウラル原油は暴落。北海ブレントとの値差は一時期最大バレル$42となりました。

 その後、インドという新規市場が出現。2025年10月まで値差約$12で推移していましたが、欧米による対露経済制裁措置強化に伴い、2025年11月以降値差拡大。現在では、値差約$30で推移しています。

 昨年2025年のウラル原油想定油価は期首予算案$69.7に対し実績$55.6、今年のロシア予算案は$59です。

 しかし、直近2月9~13日のウラル原油週次油価は$40.3と低迷。このバナナの叩き売り状態とも言えるウラル原油を輸入し、自社で精製後石油製品(主に軽油)を欧州に国際価格で輸出して、「濡れ手に粟」の状態がインドです。

 一方、中国が輸入しているロシア産原油の大部分はESPO原油です。長期契約に基づき主に原油パイプライン(PL)で供給されており、同じく超安値です(一部は露極東コズミノ出荷基地から海上輸送)。

注:黒色縦実線:2022年2月24日/赤色横実線:露国家予算想定油価/黒色数字:油価実績
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