ヘラスケビッチ選手に寄り添ったIOC会長
ヘラスケビッチ選手は、IOCが下した失格処分の取り消しを求め、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴。共同通信の記事によれば、ミラノ市内で会見した同選手は、IOCの「選手の表現に関するガイドライン」に抵触するとの判断に対し、「表現が何を意味するのか、よく分からない。笑うことだって表現だ」「解釈の余地が大きすぎる」などと反論。
また産経新聞の記事では、同選手が他国の選手もさまざまな「表現」をしていると主張。国としての参加を認められなかったロシアの国旗が会場で掲げられたことに言及し、「規則違反なのに何も処分をしていない」とIOCを批判したという。
だが、CASは「五輪憲章に基づく指針は合理的で釣り合いが取れている」と、IOCの立場を支持し、同選手の訴えを棄却した。
IOCはミラノ・コルティナ五輪に、ウクライナへの侵攻を理由にロシアと同盟国ベラルーシの選手が、国を代表する形での参加を認めていない。ヘラスケビッチ選手への失格は、コベントリー会長が涙ながらに思いを口にしたように、IOCにとっても苦渋の決断だったといえる。
実際、IOCはこの問題の解決にギリギリまで奔走した。
コベントリー会長は、競技が行われる2月12日朝にスケルトンの競技会場を訪れ、ヘラスケビッチ選手と直接会談。競技前後に「追悼」を目的としてヘルメットを展示することや、競技中も黒い腕章を着用することなどの折衷案を提示。「私を含め、誰もメッセージそのものに反対しているわけではない」と寄り添う姿勢も見せていた。
ただし、IOCにとって、「政治との距離」は譲れない一線であったことも確かだ。