軌道上の衛星は2030年には10万基に達する

 米国は送電網の老朽化、法規制や環境アセスメントの厳しさによりインフラ構築スピードがAIの進化速度に追いつかないのが現状。米有力シンクタンク、ブルッキングス研究所のランドリー・シグネ上級研究員は「AIは宇宙における新たな機会とリスクを生み出す」と指摘する。

 軌道上の衛星は2024年の約1万5000基から30年には10万基に達すると予想される。膨大な数の衛星を運用するにはAIは不可欠。米航空宇宙局(NASA)の観測データも30年までに320ペタバイトに達するため、ビッグデータから価値を引き出すスピードが勝敗を分ける。

 シグネ氏によると、全データを地球に送って分析するのではなく、衛星内で処理する「エッジAI」により宇宙空間での自律的な意思決定が可能になる。以前は危険すぎて着陸できなかった場所への到達や生命の兆候の発見が可能になる反面、課題も大きい。

 現在、宇宙企業はインフラからデータ分析まで自前で行う「垂直統合」が主流だが、これが規模拡大を妨げている。一部の資本力がある巨大企業や国にAIと宇宙インフラが集中し、他国が安全保障や農業監視を外国の商用プラットフォームに依存せざるを得なくなる恐れがある。