選手目線での議論が必要

 一般のファンも「9回制支持」が圧倒的だ。その根拠は、

「9回の攻防こそが高校野球のだいご味」

「100年を超す高校野球の伝統が途切れてしまう」

 などが大半を占めた。

「夏の甲子園で今後も高校野球を続けるには、どうすればいいか?」という究極の問いかけに対する答えにしては、やや「感傷的」と言えよう。当然ながら当事者意識に欠けるものが多かった印象だ。

 さらに、

「高校野球をする選手に決めさせればいい」

 という声も上がった。

 しかし「球数制限」のときも、選手の大半は「球数を制限せずに思い切り投げたい」と言った。当事者といっても高校生に野球の将来につながる大きな決断を押し付けるのは、大人の責任放棄ではないかと筆者は思う。

 一方で、

「開催期間を別の季節にすればいい」

「甲子園ではなくドーム球場で開催すべき」

「甲子園をドーム球場にすればいい」

 など、夏の甲子園の「大前提」を変えるという意見もかなりあった。

 これはかなりドラスティックな意見だとは言えるが、端的に言えば「9回制を変更したくない」という前提で「何ができるか」を考えた結果ということになろう。

 開催期間をずらすには高校の夏季休暇との調整が必要になるし、阪神タイガースの試合日程との問題も出てくる。ドーム球場は今、札幌ドームを除きすべてNPB球団の本拠地だが、当然ながらプロ野球チームとの調整が必要になる。

 また甲子園のドーム化には100億円以上の大きな投資が必要だ。その投資は、今のところは阪神電鉄側が行うことになる。

 実のところ日本高野連が主催する春夏の甲子園大会は「営利事業」ではなく税務署から「慈善事業」の認定を受けている。だから、甲子園球場の持ち主の阪神電鉄には使用料を支払っていないし、NHKや民放各局から「放映権料」も受け取っていない。非営利団体の日本高野連ができることは、極めて限られているのだ。

 さらに大きな変革が必要なのは間違いないが「暑さ対策」は、今年も喫緊の課題になって来る。5年10年かかる「高校野球、高野連の改革」とは、時間のスケールが全く異なっている。

「7回制への移行」は、1世紀を超す高校野球の歴史を変えるような大きな問題ではある。それだけに、「これまでの伝統」や「観客の興趣」などではなく、今野球をする高校生、そして将来の高校生のための議論を行うべきではないだろうか。

 高校野球人口は2010年あたりをピークとして減少の一途をたどっている。学校数も減少している。そんな中で「7回制」の議論は「高校野球の存続」を賭けたものになっている。

 日本高野連は2028年から「7回制」を導入したい意向だが、その前に、多くの議論を積み重ねて、納得性の高い結論を出してほしい。