アメリカもU18ワールドカップも「7回制」

②投手の肩肘の問題
 近年、高校野球の投手の重篤な怪我、故障が目立っている。特に右ひじのじん帯が、切れたり傷んだりする故障が多くなっている。肘のじん帯を再建するトミージョン手術(側副じん帯再建術)を高校で受ける選手も増えてきている。

 こうした障害の最大の原因は「投球過多」だ。この対策として日本高野連は2021年から「7日間500球」という「球数制限」を導入した。「大甘」「不十分」と言われる制限だが、ほぼすべての学校がこのルールを順守してから投球数は大幅に減少した。

 しかし、それでも肘を損傷する投手は増えている。近年、トラッキングシステムを使ったデータ計測が普及し、効果的な投球法が編み出され、球速が上がっているからだ。昔はプロ野球でもほとんどいなかった「150km/h」の速球は、今では甲子園の高校生でも普通に記録する。球速が上がれば、少ない球数でもじん帯を損傷するなど故障のリスクが高まっている。多くの整形外科医が「今の球数制限では不十分だ」と声を上げ始めている。

③世界の趨勢
 世界の「高校生世代」の野球は「9回制」から「7回制」に移行している。この世代の世界大会である「WBSC U18ワールドカップ」は、2022年の大会から「7回制」になった。

 アメリカの18歳以下の野球は、元から7回制だったし、韓国や台湾、カナダ、ベネズエラも7回制だ。メキシコやパナマなどは9回制だが、世界の趨勢としては「7回制」になりつつあるのだ。

「でも、日本の高校野球は100年以上の伝統がある。9回制でやるべきだ」との声もあるだろうが、今の高校野球選手の多くは「甲子園」「プロ野球」だけでなく「その先」「世界」を目指している。世界の野球との「段差」は、小さくしておくべきだ。

 なお、日本でも中学以下の各カテゴリーでは、すべてが「7回以下」になっている。中学から高校に上がった選手にとって「7回制」は全く違和感はない。