ジャパンファンドに2つの懸念

 ひとつには、当然、リターンを高めるために株式投資を増やせば、リスクも高まることになります。リーマンショックなどのマーケットの攪乱
(かくらん)要因があると、株式は大きな損失を出してしまいます。どの程度までであれば年金財政がそうしたリスクに耐えられるのか、不断の検証が必要です。

 もうひとつは、GPIFは年金ファンドなので、目標とする利回りとして、「名目賃金上昇率+1.9%」が求められています。賃金が上がっているのに年金額が上がらなければ実質的に年金が減っているのと同じなので、年金を意味のあるものとするために、賃金上昇率を1.9%超えたリターンを出す必要があるのです。

 デフレ経済では賃金上昇率も低かったので求められるリターンも低くなっていましたが、インフレ経済となり、賃上げ圧力が高まる中ではGPIFに求められるリターンも高くなります。今後、2%程度のインフレが定着すれば、実質賃金を上げるためには名目賃金上昇率も2%程度を維持する必要があります。その場合、GPIFは合計で4%程度のリターンを出すことが求められることになるわけです。

 現状ではその目標もクリアしているとはいえ、人手不足の現状を考えれば、なにかのきっかけで名目賃金がハネ上がり、GPIFに求められるリターンがもっと高くなる可能性は否定できないでしょう。賃金上昇率が4%ならGPIFの目標は6%になり、さすがに安定的にキープするのは簡単ではない目標に思えます。

 そのときに、本当にGPIFが消費税減税の財源を生み出すことができるのかどうか、しっかりとした検証が必要です

GPIF、年金積立金の運用目標(https://www.gpif.go.jp/gpif/investment_return_target.html

 なお、「GPIFの資産と運用益は年金に使うべきもので、消費税減税の財源にするのは目的外使用であり許されない」という批判がありますが、それは妥当ではないと思っています。

 なぜなら、そもそも国民年金(基礎年金)の給付費の半分は、一般会計による国庫負担で賄われています。「GPIFのリターンを改善し、その分国庫負担を減らし、減税の財源とする」というストーリーであれば目的外使用とはいえないでしょう。

 もともと、我々は納めた税金で年金をサポートしているわけですから、年金側の努力により利益を改善させ、税負担を減らすという話ならなにもおかしくありません。

 あと、もうひとつ懸念として、旧民主党は安倍政権でのGPIF改革時に「安全に運用すべき年金財源を株式でリスク投資するなどけしからん!」とかなり強く批判していました。立憲民主党から中道改革連合に合流した議員はジャパンファンド構想に賛同できるのだろうか、というものもありますが、ぜひとも過去は水に流して「君子豹変」してもらいたいと思っています。