英保守党の分裂と消滅の危機は現在進行形で続く
日本の生命保険会社や年金基金は超長期債を大量に保有している。40年債利回りの4%突破はポートフォリオに巨額の含み損をもたらす。英国の年金パニックと同様の「死のスパイラル」が日本でも起きるのか至急のチェックが必要だ。
報告書『停滞を終わらせる』は分かりやすく言えば「長年積み重なった構造的な低成長問題(停滞)を、財政を通じた短期的な『ショック療法』で解決しようとすると、市場はそれを『成長の起爆剤』ではなく『倒産前の追い貸し』と見なす」と警鐘を鳴らしている。
日本の「失われた30年」は経済政策アベノミクスでは解決できなかった。成長分野に人材と資金を移す構造改革は痛みを伴う。金融緩和と財政出動は痛みを和らげ、安倍氏の長期政権を実現させたが、不採算のゾンビ企業を大量に生き残らせた。
英国のトラスショックは一時的な市場の混乱にとどまらず、その後スナク政権の支持率低迷、2024年総選挙の歴史的な大敗へと続く英保守党崩壊の起点となった。トラスショックは「保守党は経済と財政の管理能力を失った」と確信させた決定的瞬間となった。
保守党の右傾化は加速し、党の分裂と消滅の危機は現在進行形で今なお続いている。
【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。