「個人の痛み」が共有されたとき、腐った組織は動き出す

 事業不振を他人のせいにしていた人々が、「自分としても改善しなければ」と思い始める。部署の中でその思いが伝わり、それが部署の大勢になれば、その部署は改革に向かって動き始める。

表:長谷川仁(コマンド・ジー・デザイン)

 この流れのポイント。事業の不振を直そうとして、会社全体のワルさを抽象的にいくら語ったところで、組織の危機感が薄い状況は変わらない。個人をターゲットにした問題指摘に迫らない限り、山は動かないのだ。

 だから、まずは部署まで辿っていく「赤い糸」、ついで、そこにいる個人の仕事にまでその赤い糸を延ばしていく、という作業をやらないと、不振会社の組織はいつまで経っても動かないのだ。

 それが「個人の痛み」を生み、「部署の痛み」になり、それが社内の全部署で展開されれば、会社全体に自己反省論の連鎖が広がり、全社的に「何とかしなければ」の前向きの姿勢が広がる。

 私が事業再生の経験を積んできて、腐って動かない不振企業の組織をどう元気にするかという命題に対して、出した答えがこれだった。

決定版 閉塞企業を甦らせる―高成長・国際化・経営者育成の同時変革―』(三枝匡著、KADOKAWA)