韓国芸能界の構造的問題が明らかに

「注射おばさん」が処方した成分が体力回復などに使われる一般的な輸液注射ではなく、抗不安薬の一つであるクロナゼパム(Clonazepam)系の「リボトリール」だとか、ダイエット薬としてもらっている薬がフェンテルミン(Phentermine)を含む薬だったためだ。

 これらはかなり依存性の高い薬であるため、深刻な問題を引き起こしかねない。

 この騒動が示しているのは、芸能人とマネジャーの極端に非対称な労働関係、美容・健康需要を背景に拡大した医療のグレーゾーン、メディアとSNSが世論を一気に形成する炎上構造という、現代韓国社会特有の課題ともいえる。

 韓国では、風邪気味だったり、疲労回復のために、病院で点滴を打ってもらったり注射を打ってもらうのはそれほど珍しいことではない。

 だから、今回の事件も多忙な芸能人が病院に行く暇がなく、自称ではあっても医師という人から注射や点滴を気軽に打ってもらっていたのかもしれないという見方も成り立つ。

 しかし、実際はその中に依存性の強い薬物が入っており、それも医師でもない人が勝手に打っていたとなれば、話は全く別になる。

 パク・ナレ騒動は、「誰がルールを守らせるのか」「慣行と違法の境界はどこにあるのか」という根源的な問いを韓国社会に投げかけているのだ。

 捜査の行方次第では、韓国芸能界の「裏の美容医療」とマネジメント慣行が、より広範に白日の下にさらされる可能性が高い。

 この事件は、スターの転落劇だけでなく産業全体のガバナンスを問う試金石として、今後も注視されている。