第6部 米トランプ大統領/ベネズエラ攻撃の影響は?

 新年早々、米軍によるベネズエラ攻撃というビッグ・ニュースが飛び込んできました。本件に関し、複数の方から油価動静に関する照会が入りましたので、筆者の見解をご披露させていただきます。

 結論から先に申し上げます。

 ベネズエラは原油埋蔵量世界一です。しかし現行産出量は少ないので、油価は一時的に高騰・乱高下するかもしれませんが、中長期的には油価上昇要因になり得ず、油価下落・低迷傾向には歯止めがかからないでしょう。

 今回の攻撃目的は、①麻薬対策 ②石油利権 ③中国の中南米への影響力排除と報じられています。

 一方、1月4日付け朝日朝刊3面には、「正当化できる論拠全くない」と題する米識者インタビュー記事が掲載されています。法的にはその通りで、日本政府はまず米国に対し抗議すべきと考えます。

 今回の攻撃を認めれば、ロシアのウクライナ侵攻を批判する法的根拠もなくなることでしょう。

 上記は政治の動きですが、油価動静に関する実務的観点からは、筆者は次のように考えます。

 米メジャーが再進出して原油生産量が増えれば、中長期的にはむしろ油価下落傾向に拍車がかかることになります。

 ゆえに米メジャーがベネズエラに再進出しても、原油増産は油価下落に直結するので、あまり増産意欲は湧かないと推測します。

 参考までに、昨年12月度IEA/OMR(石油月報)によれば、ベネズエラ産原油(重質油)生産量推移は下記表の通りです(mbd=百万バレル/日量)。

2025年12月度IEA/OMR 10月度 生産量 11月度 生産量 11月度 生産量枠 11月現在 生産能力 11月現在 生産余力
OPEC 9(除アンゴラ) 23.57 23.39 23.14 27.10 3.73
(内)サウジアラビア 9.86 9.93 10.06 12.11 2.19
OPEC 12 29.24 28.99   33.06 3.81
内)ベネズエラ 1.01 0.86   0.94 0.08
OPEC+18 36.52 36.23 36.38 40.43 3.85
(内)ロシア 9.24 9.03 9.53 9.40  
(内)カザフ 1.69 1.80 1.48 1.80 0
OPEC+22 43.61 43.25   47.90 4.02

 ベネズエラ産原油増産による恩恵を受けるのは、米ガルフ沿岸に重質油精製を得意とする製油所を有する米石油精製会社。

 具体的に申せば、バレロ(Valero Energy Corporation)/PBFエナジー/シェブロン等と言えましょう。