第1部 2油種 (北海ブレント・露ウラル原油) 週次油価動静 (2021年1月~25年12月)
最初に、2021年1月から25年12月までの代表的2油種の週次油価推移を概観します。油価建値は、北海ブレントはスポットFOB(Free On Board=本船渡し)、露ウラル原油は露黒海沿岸ノヴォロシースク港出荷FOBです。
この2油種は品質が異なり、北海ブレントは軽質・スウィート原油(硫黄分0.5%以下)、ロシアの代表的油種ウラル原油は中質・サワー原油(同1%以上)です。
世界の原油需給は均衡・緩和しており、地政学的要因以外に油価上昇材料は存在せず、今年2026年も短期油価予測は下落傾向に入っています。
両油種の品質差による正常値差はバレル約$2(1バレルは約159リットル)ゆえ、これ以上の値差は対露経済制裁措置の効果と言えます。
米国は2022年5月度よりロシア産石油(ウラル原油と重油)の輸入を停止。一方、日本が2022年6月以降原則輸入停止しているロシア産原油3油種(サハリン1・サハリン2原油とESPO=東シベリア太平洋パイプラインを通じて取引されている原油)はすべて軽質・スウィート原油です。
油価は2021年初頭より2022年2月まで上昇基調でしたが、ウラル原油はロシア軍のウクライナ侵攻後に下落開始。欧州が主要輸出先だったバルト海から出荷されるウラル原油は、開戦後に欧州向けが激減。
輸出先を失ったウラル原油は暴落。北海ブレントとの値差はロシア軍のウクライナ侵攻後一時期最大バレル$42の値差となりましたが、インドという新規市場が出現。最近まで値差約$12で推移していました。
ところが、直近12月22~24日の北海ブレント週次油価は$63.2、露ウラル原油は$34.1になり、値差は$29に拡大。
一方、ウラル原油の2025年期首予算案想定油価$69.7(4月$56に下方修正→9月$58に上方修正)を大幅に下回っているので、昨年のロシア財政赤字幅はさらなる拡大必至です(1月中旬判明予定)。
この超安値ウラル原油を輸入し、自国で精製後石油製品(主に軽油)を欧州に国際価格で輸出して、「濡れ手に粟」の状態がインドです。
一方、中国が輸入している露産原油は主にESPO原油にて、長期契約に基づき原油パイプラインで供給されており、同じく超安値です(一部は極東コズミノ出荷基地から海上輸送)。
(註:黒色縦実線:2022年2月24日/赤色横実線:露国家予算想定油価/黒色数字:油価実績、出所:露財務省統計資料より筆者作成)
