米中経済同盟の終焉

 次に、経済である。

 私が2007年以来指摘してきた事実上の「米中経済同盟」の30年間は終わり、世界は「経済戦争」へと再編されつつある。

 AIは生産性向上の希望である一方、格差拡大と巨大な電力需要という負の側面を抱える。

 中国はサプライチェーンとレアアースを握り、一帯一路でユーラシア経済圏を築いた。

 米国は技術・金融で対抗するが、中国抜きで世界経済を設計することは不可能である。

 EVに始まりAIそして先端半導体でも中国が米国に追いつき追い越そうとしている。それなのに、人口で世界の4%にすぎない米国が世界の株式市場で時価総額の約40%を占めている。

 株式市場は「米中経済同盟」時代の尺度を脱していない。私は2020年から「21世紀型大恐慌」を警告してきた。

 世界的なサプライチェーンの途絶や国際協力の低下は、地球の環境を加速度的に悪化させ、エネルギー・食料・水の不足が深刻になり、紛争や対立を激化させる。

 ここで日本に歴史的チャンスが訪れる。日米が初めて相互補完関係になるという転換である。

 米国は市場・技術・軍事力を提供し、日本は多様な製造基盤と巨大な長期資金を提供する。

 そして重要なのは、この補完関係が「どちらか一方」で起こるのではなく、日米双方の国土で、相互に投資・工業化・インフラ整備・イノベーションが進む構造であることだ。

 日米両国での成長投資を支えるものは、日本が持つ世界一多様な技術と米国が持たない公的な長期国民資金と、米国の市場・技術・金融制度基盤である。

 さらにもう一つの重要軸がある。インドである。

 インドは世界最大の人口を抱え、都市化とインフラ整備がこれから本格化する。IT人材、教育、金融リテラシーはいずれも高い。

 英国による植民地化以前の製造業大国の復活の可能性を秘める。ここに日本の技術、企業、国民資金が重なれば、両国は 経済・安全保障の両面で理想的な補完関係を形成できる。

 こうした構図を現実にするには、資金の流れを変えねばならない。

提言2:277兆円のGPIF(年金資金運用基金)の資産配分を改革し、VC(ベンチャーキャピタル)・PE(プライベート・エクイティ)・インフラ等への「成長投資枠25%」 を設けるべきである。

 これは金融技術論ではなく、新冷戦の経済防衛線である。