広告産業とメディアが強く関与

 2000年代に日本で流行した「ちょい悪オヤジ」や「美魔女」とかなり重なり合う部分があるように思える。

 しかし、現代の韓国では肯定的なニュアンスがすっかり影を潜め、若さを主張する嫌味な中年というネガティブなイメージが勝っている。

 実は、ヤングフォーティーブームの裏では、広告産業とメディア資本が強く関与していることも分かっている。

 健康食品、アンチエイジング化粧品、フィットネス機器、自己啓発書など、40代をターゲットにした市場は急拡大している。

 メディアは「40代でも新しいスタートが可能」という物語を描き、それがヤングフォーティーの理想像として広まった。

 しかし、その物語は常に消費を通じて語られ、結局「自己改善のための商品購入」という経済行動に結びつく。

 この過程で、「若さ」は個人の努力で維持すべき商品的価値へと変換される。ヤングフォーティーは自由の象徴でありながら、同時に市場に従属する存在という矛盾する側面ももつ。

 社会的に見れば、ヤングフォーティー現象は「自己の若さを企業が取り扱う新たな経済領域」の創出として理解できる。

 日本には「アラフォー」や「アラフィフ」という言葉がこれに対応するのだろう。だが、日本のアラフォーやアラフィフは単に年齢を指す言葉に近い。

 それに比べ、韓国のヤングフォーティーは、若作りをすることで「まだまだ若さでも若者に負けず、社会で戦える」ことを強調し、若者世代からは「痛々しい」と疎まれてしまう。そんな違いがあるように思える。

 ヤングフォーティー現象は、単なる40代の流行スタイルではない。20代の怒り、40代の焦燥、そして硬直化した社会構造——ヤングフォーティーはそれらの交差点に存在している。

 世代間格差を克服し持続的発展を遂げられる社会を目指したい韓国が抱えている問題の縮図がヤングフォーティーとみることもできる。個人的には若者たちに憧れられる存在になってほしいのだが・・・。