②金利と為替

 日銀は2025年の1月と12月、2度にわたって政策金利の引き上げを行った。この結果、政策金利は0.75%の水準で新年を迎えることになった。実に30年ぶりの水準という。

 2024年7月の利上げ以降、変動金利型住宅ローンを採用している人にとっては、度重なるローン金利の引き上げがインフレによる生活物価の上昇やマンション管理費、修繕積立金の引上げに加えて生活を脅かすものとなっている。

 日銀は更なる利上げの意向を表明している。12月の会見で植田総裁はインフレにもならずデフレにも落ち込まない、いわゆる中立金利について具体的に明示することは避けたものの、中立金利の水準は1%から2.5%程度のレンジの中にあるとみられる。

 したがって今年もこの水準に近づけるべく利上げが行われるとすれば、利上げは複数回に及び、上げ幅で0.5%から1%程度の利上げが行われる公算が強いということになろう。

 仮に今年、0.75%の利上げが行われると、変動金利型住宅ローン利用者は、24年7月以来、計1.5%も金利が上がることになる。

 5000万円のローン(35年、元利均等返済)を当初0.8%で調達している場合、1.5%の上昇で2.3%になると月額返済は13万6530円から17万3432円と3万6902円もの大幅な負担増となる。もちろん返済額の調整措置はあるものの返済総額は大幅に増加し、ローン返済に窮する人が出てきても不思議はない。

 金利は住宅ローンの問題と考える人が多いが、不動産投資マーケットにも影響を及ぼす。

 10年物の日本国債利回りは、2025年12月22日に一時2.1%に到達。1年前に比べて1%程度の上昇となっている。

国債市場で長期金利の指標である新発10年債の利回りを示すモニター=2025年12月22日午後、東京都中央区(写真:共同通信社)

 不動産投資における期待利回りは、リスクがフリーとされる国債利回りに、投資する不動産のリスク分(リスクプレミアム)を乗せて計算される。

 リスクフリーレートである国債が1%上がったならば、不動産投資でもその上昇分を上乗せした利回りでないと、リスクプレミアム分が縮小して投資リスクが増大したことになる。

 加えて、投資を行う場合の資金調達コストがローン金利の上昇を受けて高くなることから、リスクプレミアムについても余裕をみることになる。したがって期待投資利回りを1%以上引き上げて投資することになる。

 例えば、これまで期待利回り3.0%で都心不動産(リスクフリーレート1%+リスクプレミアム2%)に投資していた投資家も4.0%に目線を上げざるを得ない。

 期待賃料がインフレによって30%以上上がれば相場は保たれることになるが、そうしたエリアは少ないし、賃借人が豊かになって賃料上昇を受忍できないかぎり、投資は絵空事になる。このことは、今年の不動産価格が調整局面に入るとの予測を成り立たせる。

 一方で、為替だ。

 日銀による利上げと米国FRBの3度に及ぶ利下げで日米の金利差は縮小。円高に振れることが期待されたにもかかわらず、ドル円レートは155円から157円と円安水準を保ったままだ。

 高市政権の積極財政による国債大量発行を見通して、日本の財政に対する不信の表れともいえ、円安の傾向が継続されている。このことは相対的に安価な日本不動産が相変わらずのバーゲンセール状態にあることとなり、利上げで動きが成約される日本勢を尻目に外資による不動産買収が加速する可能性がある。