米大統領就任「最初の100日」は期待外れ
マライ:トランプ支持者は失望して離れていくのでしょうか。
兼光: トランプ氏は「私を当選させれば、ウクライナ問題も24時間で解決する」などと強い言い方で期待を煽ってきました。ただ、米国で政権の方向性や実力を評価される「最初の100日」での成果が乏しいと感じる人が増えています。就任から11カ月近く経った現在でも、インフレがじわりと再燃しており、外交・貿易の新しい枠組みもうまく作れていないと感じている人が多いでしょう。
また、中国との対立を強めたかと思えば急に「中国人留学生を60万人受け入れてもいい」と発言するなど、方針転換の唐突さが混乱を招いています。これは対中交渉のカードだと言われていますが、一貫性が見えないのは事実です。
マライ:民主党側の状況はどうでしょうか。
兼光:民主党は、重鎮のナンシー・ペロシ元下院議長の引退に象徴されるように世代交代が進んでいますが、ヒラリー・クリントンやカマラ・ハリスらへの期待が実現せず、新しいリーダー像が固まっていません。
NY市長選に勝利したマムダニ氏(写真:ZUMA Press/アフロ)
バイデン前大統領は「トランプ氏は嫌だ」という層の受け皿として勝利しましたが、カリスマ性で党を導けたわけではありません。民主党も新しい打開策を示せないまま現在に至っています。中道派の州知事たちから、急進左派でニューヨーク市長に当選したマムダニ氏など、多様な候補が存在します。党の方向性はまだ定まっておらず、今議論しているところです。