AIバブルは崩壊間近?(写真:ロイター/アフロ)
目次

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 ChatGPTの登場で人工知能(AI)への期待が高まってから3年、投資マネーはAIに流入し続けているが、AIバブルを危惧する声も日増しに高まっている。

 米ヘッジファンド大手ブリッジウォーター・アソシエイツのジェンセン共同投資責任者(CIO)は12月15日付の顧客向けノートで「AI関連銘柄への投資ブームが危険な段階に入っている」と警告を発した。

「AIバブル崩壊」への警鐘相次ぐ

 長年、テック株の応援団であり、強気のストラテジストで知られるヤルデニ氏も7日付リポートで、テック株が所属する「情報技術」と「通信サービス」の2業種の投資判断を「買い」から「中立」へ引き下げた。ヤルデニ氏が両業種の買い推奨を取りやめたのは2010年以降で初めてだ。

 著名エコノミストのシャルマ氏も同様の見解だ。9日に公表されたビジネスインサイダーのインタビューで「AIブームは①過剰投資、②過剰評価、③過剰所有、④過剰レバレッジ(借り入れによる投資行動)という(彼が定めた)バブル判定チェックリスト4項目すべてに該当する」と指摘した上で、「金利が上昇に向かう兆候がわずかでも見えたら、このバブルは一気に崩壊しかねない」と警告している。

 シャルマ氏が指摘する金利の上昇は現実味を帯びている。

 米連邦準備理事会(FRB)は10日、0.25ポイントの利下げを決めたが、インフレ懸念が払拭できないため、さらなる利下げの見通しは不透明になっている。欧州中央銀行(ECB)も7月の理事会以降、金利を据え置いており、18日に開く理事会でも据え置けば4会合連続となる。世界の中央銀行の利下げの流れは弱まっている感が強い。

 利上げの動きは今のところみられないが、ロイターは12日、「来年の金融市場、世界的金利上昇が隠れたリスク」と題するコラムを報じるなど、予断を許さない状況となっている。