終末期医療の是非は高齢者が議論すべき
北村:これは私の持論ですが、終末期の医療とその経済的な問題は、若い人や現役世代だけに議論を任せてはいけないと思います。
むしろ、当事者である高齢者を中心に議論をしていくべきではないでしょうか。超高齢化社会の日本で医療費が膨大に膨れ上がり、現役世代を圧迫しているのは周知の事実で、ここから目を背けてはいけないと思います。
もちろん、産業としての医療は重要ですし、子どもを含めたすべての世代が然るべき医療を受けられる権利を守ることも必要でしょう。
ただ、とめどなく高齢化していく日本にあって、高齢者の医療費の問題をこれからどうしていくかという問題は議論せざるを得ません。なんといっても、2023年度の国民医療費は過去最高の48兆円になっているのですから。
私の現場経験から言えば、高齢者の中にも「現役世代の負担になりたくない」という人はたくさん存在します。コロナ禍で「ECMOを若者に譲ります」と書いたおじいちゃんたちもいたくらいですし、多くの高齢者も似たような価値観を持っていると思います。
問題なのは、リビング・ウイルを含めた「人生の最期を自分で決める権利」そのものをタブーにしてしまう風潮でしょう。