統一教会と「国民の力」の癒着を暴くはずの捜査が…
22年3月、尹錫悦候補の大統領当選直後、統一教会の“ナンバー2”ユン・ヨンホ元世界本部長が、乾真(コンジン)法師というロビイストを通じて尹元大統領に統一教会の懸案を請託し、その見返りとして金夫人に6000万ウォン相当のダイヤモンドネックレスなどの高価な贈り物を渡したという疑惑を発端に、特検チームは統一教会と国民の力との「癒着関係」に対する捜査に本格突入したのだ。
これと関連して特検チームは、「統一教会は、尹錫悦大統領と親しい政治家を国民の力の代表にするために、国民の力に信者2000人を入党させ(最初のブリーフィングでは国民の力に入党した統一教会信者は約11万人にのぼると伝えられた)、韓鶴子(ハン・ハクジャ)総裁の指示で権性東(クォン・ソンドン)国民の力の前代表代行に1億ウォン(約1100万円)もの政治資金を渡し、国民の力党に1億4000万ウォンを超える不法な後援金を提供した」との捜査結果を発表した。
9月22日、逮捕状審査のためソウルの裁判所に出頭した統一教会の韓鶴子総裁(写真:ロイター/アフロ)
この捜査結果をもとに10月、特検チームは、権性東・前国民の力代表代行と統一教会の韓鶴子総裁を拘束・起訴し、金建希夫人への贈り物を渡した疑いで拘束・起訴されているユン・ヨンホ前世界本部長を政治資金法違反で追起訴し、韓総裁の前秘書室長・鄭元周氏とユン氏の夫人らの統一教会関係者らについても在宅起訴した。
ところが、ユン・ヨンホ氏が12月5日に開かれた公判で、統一教会が政治資金を渡したのは国民の力だけではないと暴露したのだ。
彼は法廷で、
「2017年から2021年までは国民の力より民主党ともっと近かった」
「2022年に教団が進行した『韓半島平和サミット』行事前に李在明政権の長官級人事の4人に接触し、この内2人は韓総裁と面会した」
「特検の捜査過程でも関連人物のリストと支援に対する部分を十分に話した」
などと陳述したのだ。
これに先立ち、韓国の中央日刊紙「中央日報」は、「特検チームが22年の大統領選挙と地方選の時、統一教会が国民の力の市・道支部に後援金を送りながら、民主党の市・道支部にも政治後援金を送ったという統一教会関係者の供述を確保していながらも捜査しなかった」と報道した。