9月24日、韓国ソウルのソウル中央地裁の法廷で、汚職容疑の初公判に臨む前大統領・尹錫悦氏の妻・金建希氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
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 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の夫人、金建希(キム・ゴンヒ)氏が統一教会側から高級ブランドのネックレスとシャネルバッグなどの金品を受け取ったという暴露から始まったいわゆる「統一教会ゲート」が突然方向を変え、李在明(イ・ジェミョン)大統領と与党の共に民主党へ向けて動きだした。

 金夫人関連事件の捜査を担当する特検チームが統一教会の実力者から民主党側との癒着に対する証言を確保したにもかかわらず、黙殺した状況が暴露されたのだ。怒った世論に押される形で警察が本事件の捜査を引き受けることになったが、今年末に公訴時効が満了するだけに、捜査の実効性に対する懐疑的な展望が先行している。

高級ブランド品授受事件を精力的に掘り進めた特検チーム

 韓国では、今年6月の李在明政権発足とほぼ同時に、前任の尹錫悦政権を狙った3つの特検チームが発動され、現在も関連捜査が続いている。

 このうち、金建希特検チーム(金夫人の不正事件を捜査する特検チーム)は8月、金夫人を株価操作、政治資金法違反の3つの容疑で拘束起訴した後、捜査線上で新たに発見された複数の容疑に対する追加起訴を続けている。

 12月3日には、金夫人に「懲役15年、罰金20億ウォン」を求刑したが、捜査が終了すれば、求刑量はさらに増える可能性がある。

 政権の陰で実力者として振る舞ってきた(と韓国メディアが主張する)金夫人に対する特検捜査は、当初16の疑惑を対象に決めたが、捜査を重ねるごとに新しい疑惑が次々と浮上。特検は捜査範囲を広げていった。

 中でも、韓国社会に大きな波紋を呼んだ「統一教会金品授受事件」は、金建希夫人本人だけでなく、尹前大統領が所属していた「国民の力」という政党にまで飛び火した。