国民の間に急速に広がる反米感情

 政界では、国民の反米感情を刺激する発言も登場し始めた。国立外交院長出身のキム・ジュンヒョン祖国革新党議員は、国会での発言で、ジョージア州事件を糾弾しながら「観光ビザで英語を教えるアメリカ人の実態を調査しなければならない。そうしてこそ米国が緊張する」と主張した。これに対して趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官は「尊敬する議員先生の気骨ある発言を綿密に検討してみる」と答えた。

 金民錫(キム・ミンソク)首相の実兄、金民雄(キム・ミンウン)氏が代表を務める市民団体「ろうそく行動」は、本格的な反米感情の拡散に乗り出した。金氏はジョージア州の韓国人労働者拘禁事態に対するトランプ大統領の謝罪と関税再交渉を主張しながら、「韓国人の国民的な反米情緒に米国が耐えられるか!」と脅しをかけた。インターネット上でも過去の「No JAPAN運動」を思わせるような、「No USA運動」が始まろうとする兆しを見せている。

 X(旧Twitter)やInstagramなどのSNS上には、「テスラの代わりに現代自動車を購入する」「アメリカ旅行をキャンセルした」などの書き込みが次々と掲載されている。

 ただ、冷静に考えてみれば、当初3500億ドルの対米投資金を提案したのは他でもない李在明政権だ。トランプ大統領との首脳会談の場では、韓国の大手企業の社長団を連れていって、「1500億ウォンを投資する」と追加約束した。

 要するに、対米関税交渉が今のように膠着状態に陥った最大の原因は、韓国の経済力では到底無理だった条件を自ら提案した李在明政権の無能さにあるとも言える。

 ただ、韓国メディアと韓国人は、そうした事実を見て見ぬふりをしながらトランプとアメリカに対する敵愾心を燃やしている。ひょっとすると反米政権の李在明政権の下、文在寅時代の「反日運動」に劣らないほどの「反米運動」が起きるかもしれない。