激闘が繰り広げられた「白玲戦」

 ヒューリックは女流棋戦の最高峰である「白玲戦」を主催していて、前期から優勝賞金が1500万円から4000万円に大幅増額された(ほかに特別賞として1000万円)。また6月の将棋連盟総会では、白玲を5期獲得すれば、フリークラス編入の形で棋士になれる制度が決まった。

 8月に始まったヒューリック杯第5期白玲戦七番勝負は、いろいろな意味で注目された。その時点で西山朋佳白玲(30)は3期、挑戦者の福間香奈女流六冠(33)は1期、白玲をそれぞれ獲得していた。

 白玲戦は激闘が繰り広げられた結果、西山が4勝2敗で防衛を果たし、4期目の白玲を獲得した。

西山朋佳白玲 写真提供/田丸 昇

 西山白玲(写真)は記者会見で「来年の白玲戦に向けて、さらに鍛錬していきます」と語った。記念色紙には《鵬程万里》と揮毫した。遥か彼方への遠い道のり、という意味。現実には1年後の白玲戦が、プロ棋士への道が開かれる大勝負となる。

 なお、西山は11月に一般男性と結婚したことを発表した。将棋を指すことはないが、将棋界の話題ではお互いの視点が違うので、新しい発見があって楽しいという。

 福間女流六冠は10月にプロ公式戦で勝ち、直近の成績が10勝5敗、勝率は6割5分以上となった。所定の成績を挙げたことで、「棋士編入試験」五番勝負を受ける要件を満たした。

 福間は「女流タイトル戦の対局日程や、出産を経て家での子育てもあり、体調面を考慮して決めたいと思います」と語り、試験の要否を保留した。

 実は、2022年にも棋士編入試験を受けたが、3連敗で不合格となった。

 福間は今年11月、諸問題がクリアしたとして、2回目の棋士編入試験を受けることを表明した。

 来年1月から月ごとに行われる五番勝負の相手は、厳しい三段リーグを勝ち抜いた若手精鋭の棋士ばかり。福間にとって、今回も厳しい勝負が予想される。ただ実力を存分に発揮すれば、活路が開かれるかもしれない。

 来年は、白玲5期を目指す西山、棋士編入試験を受ける福間と、初の女性棋士の誕生が期待されている。