「大谷翔平」のプレーと存在が生み出す途方もない価値

　世界は今、野球を通じた“国際競争力の可視化”に向かって動き始めている。

　米国は最強の兵を揃え、ベネズエラはアクーニャを中心に結集。各国が威信を賭ける中、日本は大谷、山本、佐々木という「日本最高の資産」の扱いを巡り、ドジャースとの綱引きに挑んでいる。

　そしてその中心には、二刀流という唯一無二の存在である大谷がいる。大谷は「日本代表のエース」であると同時に「ドジャースという巨大企業の最重要プロパティ」であり、さらには「MLBのグローバルビジネスを象徴するスター」であり「国際野球の象徴」でもある。これら複数の立場が、来春のWBCという一点で相まみえている。

　大谷がどのタイミングで、どの役割で、どれだけ投げ、どれだけ打つのか。そのシナリオは、日本代表の命運を握るだけではない。WBCという大会の価値、MLBの構造、日本のスポーツビジネスの未来、さらには野球という競技の国際政治にまで影響を及ぼす。

　来春3月、大谷翔平は再び世界の中心に立つ。だがその背後で、スポーツを超えた“主導権争い”は、今日も静かに熱を帯び続けている。