「ゼレンスキー氏とイェルマーク氏は“陰と陽”で一体化」
ウクライナのキーウ・インディペンデント(11月19日付)によると、イェルマーク氏は選挙で選ばれていないにもかかわらず、議会・内閣・主要国営企業・捜査機関にまで影響力を及ぼす「ウクライナのナンバー2」と見なされてきた。
元弁護士兼映画プロデューサーで「クヴァルタル95」に法務サービスを提供し、自身も映像制作会社を立ち上げた。10年ごろからゼレンスキー氏と関係があり、19年の大統領就任後に外交顧問、ロシアとの捕虜交換交渉・対米窓口を務め、20年に大統領府長官に抜擢された。
政策立案よりもゼレンスキー氏の意向を忠実かつ徹底的に実行するオペレーター。元スタッフは「ゼレンスキー氏がCEO(戦略)で、イェルマーク氏はCOO(実務運営)」「ゼレンスキー氏とイェルマーク氏は“陰と陽”で一体化している」と語っている。
11月23日、スイス・ジュネーブの米国国際機関代表部で協議が続く中、記者会見を行ったウクライナのイェルマーク大統領府長官(左)と米国のルビオ国務長官(写真:AP/アフロ)
ゼレンスキー氏は細かい統治にはあまり関与せず、日々の行政運営・人事・法案コントロールはイェルマーク氏が仕切っていた。19年総選挙でゼレンスキー氏の「国民の下僕」党は450議席中254議席を獲得。大統領府が議会をコントロールできる状況になった。
戦時体制(戒厳令)で大統領権限が強化され、ゼレンスキー氏の潜在的なライバルは次々と更迭された。税務・関税・金融監督、反独占委員会、国有財産基金など重要官庁のトップにはイェルマーク氏の息のかかった人物が配置されていた。