外交上極めて重要なタイミングで発覚したスキャンダル
このメッセージが送られてきたのは、11月28日イェルマーク氏がキーウの国家汚職対策局(NABU)に自宅の家宅捜索を受け、辞任を申し出てから数時間後。家宅捜索と辞任はロシアとの戦争終結に向けた交渉を主導する米国チームと会談する直前に起きたという。
ゼレンスキー氏はビデオ演説でイェルマーク氏の辞任を正式に受理したと表明し「和平交渉の場でウクライナの立場を一貫して代弁してきたことに感謝する」と称えた。その上で大統領府を「再起動」して防衛と団結に集中すると約束した。
2023年2月20日、キーウでアメリカのバイデン大統領(当時、中央)と会談したウクライナのゼレンスキー大統領(左)とイェルマーク大統領府長官(写真:ロイター/アフロ)
スキャンダルはドナルド・トランプ米大統領が「28項目和平案」を提示し、ウクライナ側が19項目に削る外交上極めて重要なタイミングで発覚した。このタイミングがゼレンスキー政権のまさに中心のイェルマーク氏更迭の引き金になった。
和平交渉代表団のトップにはルステム・ウメロフ国家安全保障・国防会議書記(前国防相)、ウクライナ軍のアンドリー・フナトフ参謀総長、外務省と情報機関の代表らを起用すると発表し、体制の立て直しを図る姿勢を明確にした。