ゼレンスキー政権のイメージと米欧の信頼を揺るがす二重の打撃
盗聴記録によると、ロシア軍による送電インフラへの大規模攻撃が続く最中、関係者がフメリニツキー原発の変圧器防護工事を「15%抜ける案件」として扱い、ゼレンスキー氏がエネルギー防護会議を開いていたまさに同じタイミングでリベート率引き上げを議論していた。
エネルゴアトムはウクライナの電力の5〜6割を供給する戦略インフラ。それを舞台にした1億ドル規模の汚職は戦時の電力防護を直接損なうとともに、ゼレンスキー政権のイメージと米欧の信頼を揺るがす二重の打撃になっている。
このスキャンダルへの対応は欧州連合(EU)加盟交渉における「反汚職改革」の信頼性テストと位置づけられる。裁判でどこまで有罪が確定するか、より上位の政治レベルまで関与があったのか、現時点で真相は分からない。
EUは資金拠出と引き換えにエネルギー部門での汚職摘発と司法の独立を重要な条件に挙げており、ミダス作戦の行方は数十億ユーロ規模の対ウクライナ支援やEU加盟交渉の進捗にも直結しかねない。