石炭火力「廃止」を求める連盟、韓国も加盟
ことし11月17日、新たに脱石炭連盟に加盟したのは、韓国とバーレーンです。韓国の金星煥(キム・ソンファン)気候エネルギー環境相は声明を発表し、「連盟への参加は韓国が公正でクリーンなエネルギー転換を加速するという強い意思の現れ」と強調。そのうえで「石炭からクリーン電力への移行は、気候のために不可欠であるだけでなく、すべての国々にとってエネルギー安全保障の強化、企業の競争力向上、将来の産業における何千人もの雇用創出にも寄与する」と言及しています。
韓国は、電力の大半を火力発電に頼ってきた国です。石炭火力による発電規模は世界7位。石炭の輸入量は中国、インド、日本に続いて世界4位です。火力の割合は年々減らしてきたものの、2024年時点では電源構成の3割が火力で、温暖化ガスの排出量ではおよそ6割を火力発電が占めている状態でした。
これを短期間で縮小・廃止に向かわせようというのが、韓国の計画です。ことし6月からは石炭火力発電所の新規建設を中止。運転中の61基についても40基を2040年までに廃止する方針を打ち出しました。残りの石炭火力も廃止に向けた工程表を策定する方針です。
世界のエネルギー事情調査を手掛ける米国の「Global Energy Monitor」社によると、地球温暖化防止に向けて石炭火力を全廃した国は、2024年時点で英国やポルトガル、オーストリア、ベルギー、ペルー、スウェーデンの6カ国を数えました。さらにフィンランドは2025年、予定より4年早く最後の石炭火力の閉鎖に踏み切りました。この潮流に韓国も加わろうとしているわけです。
(図表:フロントラインプレス作成)
先述したように脱石炭連盟の目標は、パリ協定の合意内容「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度未満にする」を少しでも早く実現させることにあります。パリ協定の6年後に開かれた2021年の気候変動枠組条約・第26回締約国会議(COP26)では、石炭火力について「段階的に削減(phasedown)」することで一致しました。
しかし、脱石炭連盟は「削減」ではなく、もう一段厳しい「廃止(phase-out)」を当初から加盟国に求めています。2019年に改定された同連盟の宣言によると、パリ協定を達成するためには「経済協力開発機構(OECD)と欧州連合(EU)の国々は遅くとも2030年までに、世界のそれ以外の地域では遅くとも2040 年までにそれぞれ石炭火力発電を廃止する必要がある」としています。ことしは2025年。2040年まで残り15年しかなく、極めて厳しい内容です。