ブラジルで開催されたCOP30(写真:AP/アフロ)
ブラジルで開かれていた「国連気候変動枠組み条約・第30回締約国会議(COP30)」が先ごろ閉幕しました。期間中に注目を集めたのが「脱石炭連盟」という国際機関です。韓国がアジアで2番目の参加を果たし、2040年までに火力発電を全廃すると国際社会に宣言しました。温暖化防止は時間との競争です。そのなかで脱石炭連盟とは、どんな活動を担っているのでしょうか。やさしく解説します。
「脱石炭連盟」とは
「脱石炭連盟」の正式名称は「Powering Past Coal Alliance (PPCA)」で、日本語では「脱石炭国際連盟」「石炭火力発電廃止連盟」と呼ばれることもあります。国際社会の最重要課題である地球温暖化防止に向けた組織で、設立は2017年11月。ドイツのボンで開催された第23回の「気候変動枠組条約(UNFCCC=United Nations Framework Convention on Climate Change)・締約国会議(COP=Conference of the Parties)」において、英国とカナダの提唱によって発足しました。
結成宣言は「現在、世界の電力のほぼ40%は石炭火力発電で賄われている」とし、石炭の燃焼に起因する大気汚染で毎年80万人が世界で死亡していると強調。そのうえで、脱石炭連盟は「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度未満にすると同時に1.5度未満に近づける」というパリ協定(2015年)の早期実現をミッションとする、とうたい上げています。
脱石炭連盟にはことし11月25日現在、英国やドイツ、フランス、北欧諸国、米国、カナダ、アラブ首長国連邦、モロッコ、メキシコ、コロンビア、ペルー、チリなど65カ国が加盟しています。主要国(G7)で加盟していないのは、日本だけ。38カ国で構成する経済協力開発機構(OECD)というくくりでも、脱石炭連盟の未加盟は日本とオーストラリア、ポーランド、トルコだけです。
脱石炭連盟は中央政府だけでなく、企業や州政府・自治体もメンバーとして迎え入れています。民間企業では、ヴァージン・グループや流通のマークス・アンド・スペンサー(いずれも英国)、投資のアクサ・インベストメント・マネージャーズ(フランス)といった有名企業のほか、電力会社やファッションブランドなど66の世界的企業が加わっています。
一方、州政府・都市レベルでは、英国のスコットランド政府、米国のカリフォルニア州など各州のほか、アジア、アフリカなどの主要都市も加わり、全部で52州・市を数えます。日本からは京都市が唯一、2023年に加盟しました。
構成メンバーは当初の27から180へと拡大。とくに加盟国は火力発電廃止の目標を数値で示していることもあり、脱石炭連盟は火力発電廃止を牽引する国際機関として、世界では無視できない存在となってきました。
では、脱石炭連盟やその加盟国はどんな目標を打ち出しているのでしょうか。
