東京都内の高層マンション群(写真:makoto.h/イメージマート)
(牧野 知弘:オラガ総研代表、不動産事業プロデューサー)
2億円のマンション、モデルルーム抽選に殺到
新築マンションの販売現場がえらいことになっている。私の知り合いが都心で販売が開始されたある人気物件を購入しようとしているのだが、モデルルームの見学すらできないと嘆いていた。
マンションのモデルルームは通常、計画地内やその近隣などにあって、マンション内の基本モデルについて同じ面積、間取りを確保したルームを用意し、家具などを備え付けたうえで、購入検討客に現実に近い姿を実感してもらおうというものだ。
そのモデルルームを見学できないという。
理由を聞いて驚いた。モデルルームがあまりに混雑するからだ。見学はすべて抽選となるが、いずれの時間枠もすべて抽選で一杯になっているため、見学はできないということだった。
マンションを購入するのに部屋ごとに抽選になるのはあたりまえだが、入口段階のモデルルーム見学から抽選という異常事態だ。結局、私の知り合いは当該マンションの購入をあきらめたというが、1住戸2億円はするマンションに購入客が殺到しているさまは驚きという以外に言葉が見つからない。
その話から数か月後、中古サイトを眺めていた私はさらに言葉を失うことになる。物件引き渡しはあと2年後であるはずの当該マンションがすでに中古サイトで売りに出されているのだ。
しかも、分譲価格の2倍近い価格で……。