条例で規制を試みるも根本対策にはならず

 アドトラックは、とくに風俗関係の店舗PRや人材募集を軸に業績を伸ばしてきたとされています。繁華街で「開店記念の特別サービス」「1日で5万円の高収入」といった広告車両を見かけた人も多いでしょう。

 しかし普及が進むにつれ、「音がうるさい」「ホスト募集など風俗の広告が目立ち、子どもに見せられない」といった苦情が出るようになります。東京都では早くも2011年に「公序良俗面に抵触するものや過度に鮮やかな色や模様を用いたもの」が見受けられるとして、都条例の施行規則を改正。デザインの適正化に着手しました。

 それでも公道を自由に走行する車両の規制は、なかなか難しいもの。東京都の場合も他県からやってくる車両にどう対応するかという規制の技術的な問題をなかなかクリアできず、実際に規制を始めたのは先述のように2024年6月のことです。

 これとは別に、首都圏では東京都がリーダーシップを取る形で、埼玉・千葉・神奈川を含めた1都3県、および千葉、さいたま、川崎、横浜、相模原の5政令市が、2023年から広域での統一規制を検討していました。しかし、自治体による対応に差が出かねないなどとして1年後に協議は中止。根本的な規制を実現するには至っていません。

アドトラックの規制の例(図:フロントラインプレス作成)アドトラックの規制の例(図:フロントラインプレス作成)