米国はサウジにF35の売却を決めたが実現性に疑問も
トランプ米大統領は18日、サウジアラビアのムハンマド皇太子とホワイトハウスで会談し、同国との戦略的防衛協定に署名した。今回のディールの目玉はサウジアラビアが以前から希望していたF35ステルス戦闘機の売却だ。
中東で唯一同機を保有しているイスラエルは「地域の軍事バランスに影響する」として難色を示していたが、トランプ氏はこの要請を無視した形だ。
だが、F35の売却はハードルが高いと言わざるを得ない。
第1次トランプ政権は2020年、アラブ首長国連邦(UAE)にF35の売却を決定したが、その後、中国への技術漏洩の疑念が浮上し、協議が頓挫した経緯がある。サウジアラビアも同様の問題を抱えており、二の舞となる可能性は十分にある。
ムハンマド氏はトランプ氏との会談で米国への投資額を1兆ドル(約155兆円)に引き上げたが、「その資金を調達するのは困難だ」との見方も出ている。原油価格の低迷で財政赤字が拡大する状況下で、サウジアラビアは2034年のサッカー・ワールドカップのスタジアム建設を始め大規模プロジェクトへの多額の支出を余儀なくされているからだ。
米国とサウジアラビアの蜜月に綻びが生ずるのは時間の問題かもしれない。
日本ではあまり知られていないが、中東地域で新たな脅威が頭をもたげつつある。