「最大の賭け」とクラウド市場

 第2の要因は、ガレッティ氏が述べた「経営資源を我々の最大の賭け(biggest bets)にシフトさせる」という戦略的判断だ。

 アマゾンはAI開発競争において、米マイクロソフト(Azure)や米グーグル(Google Cloud)に対し「出遅れている」と投資家から厳しく評価されてきた。

 4〜6月期決算では、競合2社がAI関連需要でクラウド事業の成長を加速させる中、AWSの成長率は鈍化。AI分野での早急な巻き返しが最重要課題となっていた。

 WSJによれば、ジャシーCEOはAIへの支出を強化する一方、経費削減の取り組みを続けてきた。

 つまり今回の中核事業を含む人員削減には、2つの狙いがあると見て取れる。

 ①既存業務をAIでスリム化してコストを捻出すること。そして、②そのリソースをAIインフラ(独自半導体)や生成AI開発といった注力すべき分野へ集中投資すること、である。

 これらは、戦略的な「組織再編」の側面が強い動きといえそうだ。